2013年度の税制改正案が連日新聞を賑わせています。住宅ローン減税など景気を後押しする特例は拡充される一方、相続税や所得税は基礎控除の引下げや最高税率の引き上げなど富裕層には厳しい改正となりそうです。
改正により税務対策も変えていく必要がありますが、今回はシーズン到来の確定申告関係で提出しないと大損の可能性もある税金関係の届出を紹介させて頂きます。
1 青色申告をしている不動産オーナーが亡くなった場合の注意点
~青色申告者の地位は自動的には引き継がれません~
①青色申告の届出→死亡の日から2~4ヶ月以内に!
なぜ2~4ヶ月なんてことになるのでしょう?それは亡くなった日によって国が複雑な提出期限を定めているからです。ややこしいのでもう2ヶ月以内と覚えましょう。
ここで怖いのが期限は自分が相続すると決まってからではなく死亡の日からというところです。分割が終わるのを待っていたらタイムアウトになってしまう可能性があります。ではどうするか?相続するかしないか不明でも相続人全員がとにかく青色申告の届出書を提出しておくことをお勧めします。
青色申告は最高で65万円の特別控除や専従者給与そして三年間の損失の繰越など特典満載ですので、届出期限を逃して損してしまわないよう十分ご注意ください。
②青色事業専従者の届出→ 2カ月以内に!
個人が支払う同一生計の配偶者や子供に対する給料は原則必要経費になりませんが、これも青色申告者が届出書を提出することにより認めてもらえます。但し届けた金額の範囲内ですので給料の金額を増額しようとするときはその年の3月15日までに届出を出し直す必要があります。
2消費税の課税事業者であった不動産オーナーが亡くなった場合の注意点
~相続があった年からサラリーマンでも課税事業者に~
①簡易課税の選択届出書→相続のあった年の12月31日までに!
消費税の納税義務は自動的に承継されてしまうのに優遇措置である簡易課税は届出書を提出しなければ認めてもらえないのです。
但し簡易課税が損か得かは判定する必要があります。
②消費税課税事業者選択届出書→相続のあった年の12月31日までに!
大規模修繕や新たな投資物件の購入の予定があって、消費税の還付を受けるために課税事業者選択届出書を提出していた不動産オーナーが亡くなった場合にサラリーマンなどで免税事業者だった相続人は新たにその届出書を出し直さなければ消費税の還付は受けられません。
これらの書類はどれもA4一枚の簡単なものですが提出期限が過ぎてしまうと余程のことがない限りは受け付けてもらえませんので十分注意が必要です。相続があったらできるだけ早めに専門家に相談されることをお勧めします。
<メルマガ担当>
税理士法人 田崎・太田事務所
太田 圭子 先生